「の」と「こと」の使い方

さて、みなさんに質問して、答えてもらった「の」と「こと」について説明します。

これに関しては、教科書や文法の本などで、みなさんはすでに色々な説明を読んだことがあると思います。この投稿では私が考える「の」と「こと」の使い方を書くので、みなさんが理解していることと違う点があるかもしれません。
でも、「の」と「こと」にはあいまいな点があり、日本人の使い方を見ても、どっちでもいいんじゃない?という場合があるのをご了承くださいね。

まず、「こと」の役割を説明します。文の中に「動詞を含む部分」+「こと」がありますね。「動詞を含む部分」=ある行動や状態。そして、「こと」がそれを「概念」に変えます。「概念」とは、出来事や事件、事実、事情、経験などの言葉に置き換えられるかもしれません。
文法的に説明すると、動詞+「こと」で、動詞を名詞に変えることができます。

それから、「の」は「こと」と同じ役割を持っています。 ある行動や状態に「の」をつけて、それを概念化します。そして、「の」が表す概念は「事」だけではなく、「人」「物」「所」「時」「理由」など色々あります。

実際に例文を見た方がわかりやすいので、例文に移りましょう。(二つ前の投稿に出した例文を使います)

  • (A-1) 毎日ジョギングを続けることは難しい。

  • (A-3) 私は知らない町に行くことが好きです。

  • (B-3) 歌を歌うことと、おどること、どっちが好き?

  • (B-5) 外国語を勉強することは時間がかかる。

動詞を含む部分:

毎日ジョギングを続ける、知らない町に行く、歌を歌う、おどる、外国語を勉強する

これらに「こと」または「の」をつけると、毎日ジョギングを続けるという行為(=事)という意味になります。
B-4も似ているパターンです。でも、「の」を使うことができません。

  • (B-4) 私の趣味は絵を描くことです。(OK)

  • 私の趣味は絵を描くのです。(×)

「動詞を含む部分」+「こと」+「です」の場合、「の」に代えられません。

「動詞を含む部分」+「こと」+は/が~。の文の場合、「こと」を「の」に代えられます。この理由は、「~んです/~のです」と混乱してしまうからだと思います。(例:彼はいつ来るんですか?/来るのですか?)

次に「動詞を含む部分」+「こと」が「事実」の場合、「こと」と「の」、両方使えます。

  • (A-5)  山田さんがアメリカにひっこすことを知っている?

  • 彼女は妊娠していることがわかった。

  • 携帯が壊れていることに気がついた。

  • 私は前に彼に大阪で会ったことを忘れていた。(or 思い出した)

それから、「ことができる」「ことにする」「ことはない」など、決まった表現として使われる「こと」は「の」に変えられません。したがって、

  • (B-2) この店の名前を聞いたことがある? (OK)

  • この店の名前を聞いたのがある? (×)

今回のクイズにはなかったのですが、「動詞を含む部分」がある行為を表して、さらにそれが「を」をとる場合、「こと」ではなく、「の」が良いと思います。

  • 友だちは私がひっこすを手伝ってくれた。

  • 私は駅で彼が来るを待っている。

  • かぎを閉めるを忘れちゃった。

  • ダイエットをする!甘いものを食べるをやめる。

*「こと」も使えるんじゃないかなあと思いつつ、「の」の方がやっぱり良いと思うんです。

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